ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐための大切な制度です。なかでも産業医が実施する高ストレス者への面談は、「不調の早期発見」と「就業配慮・職場改善」につなげる重要な機会といえます。
本記事では、ストレスチェックにおける産業医の役割を軸に、基礎知識から高ストレス者面談の具体的な流れまでをわかりやすく解説します。産業医と連携するポイントを知って、ストレスチェックを職場環境改善に活用していきたい担当者の方はぜひ最後までご覧ください。
万が一メンタルヘルス不調者が出た場合、対応手順に不安がある人事担当者もいるのではないでしょうか。当サイトでは、産業医と連携して行うべき「メンタルヘルス不調者対応マニュアル」を配布しています。
下記バナーから、資料をダウンロードしてご確認ください。

目次
ストレスチェックの実施において、メンタルヘルスの専門知識をもつ産業医は欠かせない存在です。なかでも産業医が担う主な役割は「面談指導」。高ストレス者が希望する場合、産業医が面談指導を行い、心身の状態を正しく評価して、必要な措置を事業者に提案する必要があります。
その他にも、ストレスチェックの実施に必要な「実施者」の役割を産業医が担うケースや、ストレスチェック後の集団分析結果に対して、職場環境改善の助言をするケースもあります。
それゆえ、産業医にはメンタルヘルスの専門的な知識だけでなく、企業風土や労働者の状況への深い理解が求められます。日頃から労働者や管理職と積極的にコミュニケーションをとってくれる産業医を選任すると心強いでしょう。
【関連記事】ストレスチェックの集団分析とは?結果の見方や活用事例をわかりやすく解説
ストレスチェックとは、従業員が抱えている心理的負担の状態を把握し、働く環境をより良くするために導入された仕組みです。従業員数が50人以上の事業場では、年に1回以上のストレスチェックの実施が義務付けられています。(労働安全衛生法 第66条の10)
また、2025年5月に50人未満の企業にもストレスチェックの実施を義務付ける改正労働安全衛生法が可決されたことから、2028年5月頃までにはすべての企業でストレスチェックの実施が法的義務となる見込みです。
そもそもストレスチェックにはどのような目的があるのか、運用ルールなどもあわせて確認していきましょう。
ストレスチェック制度の主な目的は下記のとおりです。
従業員にとって、ストレスチェックを受けることは自分が抱えているストレスの度合いや要因を認識するきっかけになります。
一方、事業者側にとっても、ストレスチェックによってメンタルヘルス不調者の早期発見・対策が可能となるため、重症化による休職・退職リスクを未然に防ぐことができる点はメリット。ストレスチェックの集団結果を活用すれば、職場全体の環境改善につなげることも可能です。
ストレスチェックは、労働安全衛生法で定められたルールに従って実施する必要があります。

ストレスチェックには「実施者」が必要ですが、実施者になれるのは、産業医のほか、保健師・厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師です。
社内の状況をよく把握している人物であれば、気軽に相談できて適切な判定もしやすいため、多くの企業で産業医が実施者を担当しています。
【関連記事】ストレスチェックとは?企業の義務と運用の流れをわかりやすく解説
厚生労働省が推奨しているストレスチェックの内容は、下図のとおりです。

厚生労働省は、下記3種類の質問が含まれるようにストレスチェックの設問を用意することを推奨しています。
<A:仕事のストレス要因>
仕事の量や質、裁量権、人間関係など、ストレスの原因に関する事項
<B:心身のストレス反応>
疲労、不安、イライラ、抑うつなど、ストレスによる心身の自覚症状に関する事項
<C:周囲のサポート>
上司や同僚からのサポート、助言、支援など、周囲のサポートに関する事項
ストレスチェック実施前の準備から、高ストレス者の産業医面談までの流れは下記のとおりです。
ストレスチェックは「実施して終わり」ではありません。産業医と連携して取り組むことで、ストレスチェックの効果を高めることができるため、各項目におけるポイントを確認してみましょう。
まず、従業員が50人以上の事業場で設置が義務づけられている衛生委員会において、ストレスチェック制度の運用方法について審議を行う必要があります。産業医は、設問設定・実施時期・評価方法などについて助言します。
厚生労働省の実施マニュアルでは、産業医が実施者として調査票配布・回収を監督し、厚生労働省の基準と職場の特性をもとに結果評価と高ストレス者の選定を行う方法が紹介されています。
実際は、ストレスチェックサービス(システム)を活用したフローが多くの企業で採用されています。
事業者が本人の同意なく結果を見ることは禁止されているため、個別結果は産業医(実施者)または実施事務従事者が本人に直接通知します。その際、高ストレス者には面接指導の必要性を伝え、申し出を促します。
高ストレス者の該当要件や対応方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
【関連記事】高ストレス者への法的に正しい対応と産業医面談の注意点
高ストレス者の申し出があった場合、産業医は面談で心身・勤務状況を確認し、セルフケアに関する助言や受診勧奨を行います。そして、産業医は面談で得た情報をもとに、就業措置に関する意見を事業者に提言します。
産業医に助言をもらいながら部署・職種別集計分析を実施し、ストレス要因を特定して改善策を衛生委員会に提案。職場環境の予防的改善を推進します。
事業者は、ストレスチェックの実施状況(実施状況・高ストレス者数・面接指導の実施人数など)を、労働基準監督署へ報告します。事業者が報告書を用意する段階では、数値の確認などでストレスチェックの実施者(医師)や産業医が助言する場合もあります。
なお、報告書の提出には、厚生労働省の定める「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号)」を使用します。作成にあたっては、「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を利用すると、必要項目を自動で入力できるため便利です。
詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
【関連記事】ストレスチェック報告書の書き方を解説!労基署提出時の注意点も紹介
ストレスチェック後の産業医面談とは、ストレスチェックで「高ストレス者」と判定された従業員を対象に実施される面接指導のことです。高ストレス者本人の希望がある場合、医師(通常は産業医)による面談を実施することが事業者に義務付けられています。
メンタルヘルス不調や脳・心疾患の予防を目的としており、ストレスチェックに関する産業医の役割のうち最も重要なものの一つです。ストレスチェック後の産業医面談の流れや詳しい内容は、こちらの記事で解説しています。
【関連記事】ストレスチェック後の面接指導(面談)とは?流れや内容を解説
ストレスチェックや産業医面談は、プライバシーへの細やかな配慮が必要です。配慮が足りないと従業員の不安を強め、本音を引き出すことができず面談が形骸化してしまうおそれがあります。
最後に、産業医と連携してストレスチェックや産業医面談をスムーズに実施するポイントをご紹介します。
高ストレス者のなかには、産業医面談を上司に知られると「人事評価に響くのでは?」と心配して面談を拒否する人もいます。
産業医をはじめとするストレスチェックの実施者や実施事務従事者には守秘義務があり、労働者本人の同意なく、ストレスチェックの結果を事業者に渡すことはありません。産業医や事業者が連携して労働者にその旨を周知し、安心して相談できる環境づくりをしましょう。
また、面接指導時には他の労働者から離れた場所を用意するなど、内容が漏れないように十分な配慮をするのもポイントです。
高ストレス者に対する産業医面談は、あくまで労働者から申し出があった場合に実施するものです。
とはいえ、事業者には、従業員の健康や安全を守る義務(安全配慮義務)があります。産業医面談の実施も重要な意味をもつため、強制はできないものの適切に面接指導の申し出を促す必要があるでしょう。従業員に申し出を促した記録は、健康管理システムなどのデータに残しておくのがおすすめです。
高ストレス者が産業医面談を希望した場合、遅滞なく1ヵ月以内に面談を実施するのが望ましいとされています。産業医面談の申し出があった場合、人事労務担当者は下記のような情報を産業医に事前共有します。
産業医面談にはストレスチェックの結果以外にも準備しなくてはならない資料が多く、人事労務担当者の負担になりがちです。健康データを一元管理できるようなシステムを導入しておくことで、担当者の負担を軽減することができます。
なお、「Carely産業医紹介」では、産業医紹介とセットで健康診断データの一元管理ができる「Carely健康管理クラウド」を無料で提供しています。5年間保管が必要なストレスチェックの結果も、閲覧権限を設定して保管できるので安心です。

ストレスチェックには、心身の状態を専門的に評価し、自社の状況をふまえたアドバイスをくれる産業医の存在が不可欠です。
特に高ストレス者対応は、産業医の経験値やコミュニケーション能力によって、面談の質が大きく変わります。「自社に合う産業医を探したい」と感じたら、産業医紹介サービスを活用してプロに相談するのも一つの選択肢です。信頼できる産業医と連携し、安心して働ける職場づくりを進めていきましょう。
| iCAREが提供する「Carely産業医紹介」には、企業風土を理解し、ニーズに合ったスキルを備えた産業医が多く在籍。ストレスチェックや健康診断データの管理ができるシステムもセットでご提供することで、企業の健康管理体制を全面的にバックアップします。 サービスの詳細は、下記サイトをご覧ください。 ▶︎Carely産業医紹介サイト |
お問い合わせ・
資料ダウンロードはこちら
Contact