産業医にかかる費用は、企業規模や契約形態などによって大きく異なります。そのため「どのくらいの費用が妥当なのか」と悩む人事・労務担当者も少なくありません。
本記事では、産業医に関する報酬相場や契約時に確認しておきたいポイントなど、産業医の費用に関する内容をまとめました。費用を最適化するポイントもご紹介しますので、スムーズに産業医との契約を進めたい方は最後までご確認ください。
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目次
産業医の報酬には統一された基準がなく、勤務形態や業務範囲などによって大きく差があります。まずは一般的な費用相場を確認し、産業医探しの前にイメージをつかんでおきましょう。
産業医の費用を考えるうえで知っておくべきなのが、「専属」と「嘱託(しょくたく)」の勤務形態の違いです。
| ▪️専属産業医:企業に常勤し、その事業場だけを担当する産業医 ▪️嘱託産業医:非常勤の産業医。主に月1回程度の訪問で複数の事業場や医療機関を兼務するケースが多い |
選任可能な産業医の勤務形態は、下記のとおり法律で定められた会社の従業員数によって決まります。

有害業務を行わない事業所の場合、労働者数が50〜999人の事業場では、嘱託産業医を選任可能です。一方、労働者数が1,000人以上の事業場や、特定の有害な業務に500人以上が従事する事業場では、専属産業医の選任が義務付けられています。
常勤の専属産業医の場合は、月額ではなく年俸制で契約するのが一般的です。金額は、産業医としての経験年数や、週に何日勤務するかといった条件によって大きく変わります。
専属産業医の要件として厳密な定義はありませんが、1日あたりの稼働時間がミニマム3時間、勤務日数は週3〜4日が基本といえます。
| 勤務日数 | 年棒の目安 |
|---|---|
| 週3日 | 1,000〜1,300万円程度 |
| 週4日 | 1,300〜1,700万円程度 |
1時間あたりで依頼するなら、2万5,000〜3万円程度が一つの目安です。ただし、これらはあくまで一般的な相場であり、産業医としての経験が豊富な医師や特定のスキルを持つ医師の場合は、さらに高くなることもあります。
【関連記事】専属産業医とは?嘱託・統括産業医との違いや業務内容も解説
非常勤である嘱託産業医の報酬は、月額で支払われることが一般的です。金額は、主に会社の従業員数と月あたりの訪問回数・時間によって決まります。
従業員数が多ければ、それだけ産業医が目を通すべき健康診断のデータや面談の対象者も増えるため、報酬も高くなります。

具体的には、従業員数100人以下の会社で、月1回・1〜2時間程度の訪問の場合、月額5万円以上が一つの目安です。なお、代表的な契約パターンとしては下記2種類が挙げられます。
| 01.時間料金型:契約した時間内で産業医業務に対応 02.基本料金+業務料金型:固定の基本料金に、面談対応や衛生委員会出席などの業務ベースで料金が発生 |
「基本料金+業務料金型」は依頼する業務によって追加料金が発生するため、当初の想定より費用が高くなるケースも少なくありません。自社のニーズを把握したうえで、契約内容をよく確認するようにしましょう。
時間内でさまざまな産業医業務に対応できる「時間料金型」の費用イメージとして、下図のとおり「Carely産業医紹介」の例をご紹介します。

産業医と契約をする際には、月額料金に含まれる業務範囲など契約内容を確認することが大切です。その範囲を超えた業務を依頼するには追加費用が発生するため、希望の対応は業務範囲内なのか、追加で依頼するにはいくら費用がかかるのか事前に把握しておきましょう。
ここでは報酬が変動する要因として、下記6つの例をご紹介します。
ストレスチェックや健康診断の実施後は、面談件数や就業判定の件数などが一時的に増えるタイミングです。契約に含まれる面談上限件数を超過した場合は、1件あたりの追加料金や時間延長分の費用が発生しがちなので、基本契約の面談件数や1回あたりの追加料金設定などを把握しておきましょう。
例えば、ストレスチェックで高ストレスと判定され、自らも面談を希望する従業員には会社負担で医師による面接指導を実施する必要があります。この場合、追加費用が発生するケースもあり、1回あたり21,500 円以上※というデータもあります。
また、ストレスチェックの実施には「実施者」の役割が必要であり、その役割も産業医が担うのが一般的です。実施者を依頼する場合、従業員1名あたり500円〜で計算する例もあります。
【関連記事】ストレスチェックとは?企業の義務と運用の流れをわかりやすく解説
なお、「Carely産業医紹介」は、時間内であれば業務ごとの追加料金はかからない「時間料金型」です。繁忙期は、衛生員会の出席はせずに議事録の共有にとどめるなど産業医の業務調整をすることで、月毎の費用変動を防ぎやすいメリットがあります。
都市部は企業数が多く産業医の需要が高いため、報酬が高めに設定される傾向があります。地方でも産業医が少ないエリアでは費用が高騰する場合があるため、地域ごとの相場も確認しておきましょう。
さらに、産業医に複数拠点を任せる場合、交通が不便な場所は追加料金が必要になるケースも。交通費負担も含めて、事前に契約内容を把握しておきたいところです。
なお、労働環境や有害業務の有無によって巡視・指導回数が変動するため、業務量が増えるぶん費用も上がります。有害業務を実施する事業場では、この点も考慮しましょう。
産業医としての経験年数や、下記のような専門資格を求める場合は報酬が高くなる傾向があります。
メンタルヘルス対応や法的アドバイスができる産業医はニーズが高く、自社の人脈や地域の医師会などで探す場合は、該当する産業医が見つからないことも多々あります。
なお、産業医紹介サービスの「Carely産業医紹介」を利用する場合、オプションの費用感は下記のとおりです。

嘱託産業医の場合、月1回訪問の契約が基本ですが、業種や企業規模によっては月1回以上の訪問が必要な場合があります。
訪問回数が増えるとそのぶんの報酬も上乗せされるため、自社の状況をふまえつつ、できるだけ訪問をまとめられないか調整してみるとよいでしょう。
産業医との契約方法には、主に「雇用契約」と「業務委託契約」の2種類です。どちらにもメリット・デメリットがあるため、費用面と天秤にかけながら検討しましょう。
■雇用契約
事業者と産業医が正社員または契約社員、嘱託社員として直接雇用契約する方法です。専属産業医で多く見られます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
▪️社員として業務に従事させることができ、産業医の業務への理解度が深まる | ▪️非常に高額となる 例)1500万円~2500万円+会社負担保険料+会社負担各税+諸経費 ▪️相性が合わない場合や、問題発生時でも基本的に交代できない ▪️直接雇用を締結できる産業医が希少なため、企業属性に合った産業医探しが難航する |
■ 業務委託契約
嘱託産業医との契約において一般的な契約形態です。専属産業医でも、業務委託契約を締結しているケースもあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ▪️依頼する業務単位で契約できるため、直接契約より費用を抑えられる ▪️相性が悪い場合、交代させやすい ▪️直接契約する場合より候補者が絞られないため、自社に合った産業医を見つけやすい | ▪️週5~6回勤務の場合は、直接契約の方が費用を抑えられる場合がある |
産業医との契約書に必ず記載する項目や契約の流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】産業医との契約を基本から解説!契約書の必須事項や流れ・相場を知っておこう
近年利用する企業が増えている産業医紹介サービスを活用する場合、料金プランだけでなく、サポート体制も重要な検討ポイントです。安いプランに見えても対応品質がいまひとつだと、コミュニケーションコストがかかることもあります。
費用だけでなく、「連絡が遅延なくスムーズに行われるか」、「契約後に産業医との間にトラブルが発生した際に頼れるか」といった観点でも比較検討しましょう。
「Carelyの産業医紹介」は、産業保健に精通したスタッフがしっかり対応するので安心してお任せいただけます。さらに、企業の健康管理情報を一元化できるシステム「健康管理クラウド」もセットで利用可能。手厚いサービス内容で、実質のコストを抑えやすいところがメリットです。

最後に、産業医にかかる費用を最適化するために知っておきたいポイントを3点ご紹介します。
同じ「月1回の訪問」でも、従業員の数や健康リスクの高さなどによって企業ごとに必要な業務量は変わります。メンタルヘルス対応の要否や安全管理が必要な業務など、まずは自社の状況や課題を洗い出してみましょう。
例えば、「Carely産業医紹介」で目安としている稼働時間は下記のとおりです。
| 企業規模 | 産業医の稼働時間の目安 (ひと月あたり) |
|---|---|
50〜100名 | 1時間 (料金目安:3〜5万円) |
100〜300名 | 1.5〜2時間 (料金目安:10万円) |
300名〜500名 | 2〜3時間 (料金目安:10〜15万円) |
この稼働時間は目安であり、実際には下記のような条件で変動します。
自社に必要な産業医の稼働時間が気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
▶︎【無料で相談】Carely産業医の相談窓口
思わぬ追加費用が発生してトラブルにならないように、契約時点で業務範囲をしっかり確認しておくことが大切です。
産業医へ依頼する基本的な職務内容は、下図のとおりです。

出典:独立行政法人 労働者健康安全機構|中小企業事業者の為に産業医ができること
なかでもストレスチェック・衛生教育・臨時面談などの対応で追加料金が発生するケースが多いため、「どこまでが基本業務で、どこからが追加料金か」を最初に定めておくのがポイントです。
【関連記事】産業医との契約を基本から解説!契約書の必須事項や流れ・相場を知っておこう
産業医を選任したあとは、産業医とともに従業員の健康管理体制を構築・運営していくことになります。この体制構築と運営を効率的に行うため、産業医紹介サービスが付帯するサービスを上手に活用できるとよいでしょう。
例えば、「Carely産業医紹介」では、ストレスチェック、面談記録、衛生委員会議事録管理などの産業保健業務に必要な機能を網羅した「健康管理クラウド」が無料セットになっています。
このような付帯サービスを利用することで、担当者の業務効率化を図れるだけでなく、法令対応モレを防ぐことにもつながります。
産業医を依頼するための費用は、業務内容や契約形態、事業場の規模などによって変わります。
コストを最適化するためには、相場を理解し、自社の実情や課題に合わせた条件設定を行うことが重要ですが、普段の業務もあるなかで情報を収集する難しさを感じている方も多いかもしれません。
もし「どのような産業医が自社に合うかわからない」「自社に最適な契約形態を知りたい」とお悩みなら、産業医紹介サービスを利用してプロのサポートを受けるのがおすすめです。
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