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ストレスチェックの集団分析とは?評価方法や手順、結果の活用方法まで徹底解説

ストレスチェックの集団分析とは?

ストレスチェック後の集団分析を、どう分析・評価し、職場改善に活かせば良いのか悩むケースは少なくありません。集団分析は、職場環境の改善につなげてこそ意味があります。

本記事では、ストレスチェックの集団分析における基本から実務での活用方法までをわかりやすく解説します。

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ぜひ資料をお手元に置いて、もしもの事態に備えてください。

ストレスチェックの集団分析とは?努力義務や目的について解説

ストレスチェックの集団分析とは、部署などの一定規模の集団ごとにストレスチェックの結果を集計・分析し、職場ごとの特徴や傾向を明らかにすることです。

従業員のメンタルヘルス不調を予防するストレスチェック制度の効果を最大化するために、欠かせない取り組みといえます。

【関連記事】ストレスチェックとは?義務や費用、実施の流れなど実務を徹底解説

集団分析の目的

集団分析の目的は、集団ごとの「心身のストレス反応」「仕事のストレス要因」「周囲のサポート」の状態を可視化し、従業員個人では対処しづらい職場環境の課題を改善することです。

結果を事業場単位で集計し、年代や性別、部署や職位などさまざまな観点から分析を行うことで職場のストレス要因の解像度が上がり、効果的なアプローチができるようになります。

ストレスチェックの集団分析は義務?

従業員50人以上の事業場において、従業員へのストレスチェック実施は義務ですが、「ストレスチェック結果の集団分析」は努力義務です。

とはいえ、令和6年度にストレスチェックを実施した従業員50人以上の事業所のうち集団分析を実施したのは80%、そのうち分析結果を職場環境改善に活用したのは82.2%と高水準※でした。

厚生労働省が実施を推奨していることもあり、集団分析を実施・活用する事業場の割合は増加傾向にあります。

※参考:厚生労働省|令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

ストレスチェックの集団分析を行う2つのメリット

ストレスチェックの集団分析を行い、職場ごとの課題が可視化されることで得られる主なメリットは下記の2点です。

<1.離職や休職発生の予防>
職場ごとのメンタルヘルス不調のリスクを把握でき、離職や休職発生の予防に向けて具体的な改善策が立てられる

<2.働きやすさや生産性の向上>
職場の課題や強みを把握することで、働きやすさや生産性の向上に役立てられる

ストレスチェックの集団分析により、これらのメリットを得るために必要な対策や、対策実施の優先順位を明確化できます。

まず、ストレスチェック全体の流れにおける「集団分析」の位置づけは下図のとおりです。

ストレスチェックの流れ

ストレスチェックの計画・実施〜高ストレス者の抽出・面談、そして集団分析の結果を職場環境の改善に活かすというPDCAサイクルを回すことが重要です。

ここでは、集団分析の手順を3ステップにわけてご紹介します。

ステップ1.ストレスチェックの実施・集計

ストレスチェックの検査項目として厚生労働省が提示しているのは、80項目・57項目・23項目の3種類です。厚生労働省の推奨は57項目ですが、より詳細なストレス状況を可視化するため80項目を採用する企業も増えています。

具体的な検査項目としては、厚生労働省は下記3種類の質問が含まれるようなストレスチェックの設問を推奨しています。

<A:仕事のストレス要因>
仕事の量や質、裁量権、人間関係など、ストレスの原因に関する事項

<B:心身のストレス反応>
疲労、不安、イライラ、抑うつなど、ストレスによる心身の自覚症状に関する事項

<C:周囲のサポート>
上司や同僚からのサポート、助言、支援など、周囲のサポートに関する事項

ストレスチェックは、各設問の回答に割り当てられた点数を集計する仕組みです。

<回答画面のイメージ>

Carely健康管理クラウドストレスチェック画面

イメージ画像:Carelyが提供するストレスチェックの回答画面

多くのストレスチェック関連システムでは、自動でデータが集計され、画面で結果を確認できます。

ステップ2.ストレスチェック結果の分析・評価

ストレスチェックの集計後は、個人が特定されないように留意しながら、一定の規模の分析単位で集団分析を実施します。分析単位は原則10人以上が目安で、切り口の例は下記のとおりです。

<組織単位での分析>
部署別・課・チーム別など。日常のマネジメント単位でわける一般的な方法

<属性別での分析>
年代別、男女別、職種別(営業・事務・技術など)、雇用形態別など。切り口を変えることで会社特有の課題が見える場合もある

集団分析を行う目的を意識しながら、効果的な分析単位を設定しましょう。詳しい結果の見方や評価方法は、記事後半で解説します。

ステップ3.職場環境改善に向けた集団分析結果の活用

分析結果と現場へのヒアリング内容などをもとに、改善策を検討・実施します。定期的に振り返りを実施して、中長期的な視点でPDCAサイクルを回すことを意識しましょう

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集団分析結果の見方と評価方法

ここからは、集団分析結果の数値やグラフの評価方法について解説します。

前提として、ストレスチェック制度はNIOSH(アメリカ国立労働安全衛生研究所)が提唱した「職業性ストレスモデル」をもとに作られています。

仕事のストレス要因に対して、仕事以外の要因や周囲のサポート・裁量権などの緩衝要因を挟んで、ストレス反応が生じるという考え方です。

ストレス要因-ストレス反応-ストレス体制

出典:厚生労働省|こころの耳 15分でわかるセルフケア

ストレス反応を小さくするためには、“ボールを押さえつける力”を弱める(業務軽減)だけでなく、ストレスの緩衝要因となる“弾力性”を強化する(サポート体制構築)ことも重要であることがイメージできるでしょう。

これをふまえて、ストレスチェックの結果分析〜改善は下記の流れで行うのがおすすめです。

  • 心身のストレス反応が強く表れている部署や職種を見つける
  • 該当セクションの仕事のストレス要因や周囲のサポート状況を確認
  • ストレス反応が強く表れる要因を特定し、対策を打つ

1のストレス反応が強いセクションを発見するのに役立つのが、ストレスチェックの集団分析です。今回は代表的なアウトプット形式である「仕事のストレス判定図」を中心に解説します。

仕事のストレス判定図の見方

ストレスチェック仕事のストレス判定図

出典:厚生労働省|職場結果「仕事のストレス判定図」について

仕事のストレス判定図とは、ストレスチェックの集計結果をもとに、職場ごとに「仕事の量(負担)」と「コントロール(裁量権・自由度)」、「周囲のサポート」のバランスを可視化したグラフです。下記2つのグラフで構成されています。

  • 量-コントロール判定図(画像左)
  • 職場の支援判定図(画像右)

集団ごとの平均値を算出して数値をグラフ化したもので、それぞれ濃い色で示された領域に近くなるほど、ストレスが強い状態を示します。

リスクの高いセクションを見つけることができるだけでなく、全国平均や、社内の部署同士で位置を比較することで、「仕事量は同程度だが、自由度が低い」「上司の支援が少ない」といった課題も発見できます。

総合健康リスクの見方

ストレスチェック総合健康リスク

出典:厚生労働省|職場結果「仕事のストレス判定図」について

総合健康リスクとは、ストレスチェックの集団分析において、「その部署に所属する従業員の健康に、どれくらい悪影響が出る可能性があるか」を数値化した予測指標のこと(画像右下の数値)です。

「仕事のストレス判定図」から導き出される最終スコアで、「量-コントロール判定図の値」×「職場の支援判定図」÷100で算出されます。人事担当者が組織の優先順位を検討する際に重要な数値です。

全国平均を「100」とした相対評価なので、判断基準は下記を目安にしましょう。

  • 100未満:全国平均よりストレスリスクが低い
  • 100以上:全国平均よりストレスリスクが高い
  • 120以上:特にリスクが高く、健康障害(休職・離職など)が発生するおそれがある

こちらの記事では、社内や同業他社と比較する際のポイントを掘り下げています。

【関連記事】集団分析のまとめ。職場環境を改善するストレス判定図の見方。

【応用編】精緻な集団分析でダイレクトな職場環境改善へ

より細やかな集団分析を行いたい場合は、外部のストレスチェックシステムを利用するのもおすすめです。例えば、iCAREが提供する「Carely健康管理クラウド」を利用したストレスチェックでは、下図のとおり部署ごとに細かく数値比較が可能です。

Carely健康管理クラウドストレスチェック集団分析

各部署を横並びにして項目ごとに比較することで、ストレス反応の原因をより精緻に分析できます。

ストレスチェック集団分析結果の活用

また、過去の集団分析結果と経年比較をすることで、昨年と比べて改善しているのか悪化しているのかがわかります。何らかの施策を実行した場合は、その施策の前後比較による効果検証も可能です。

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【活用事例】集団分析結果を職場環境改善に活かすには?

ここでは、集団分析結果を職場環境改善に活かす際のポイントと、実際の活用事例を解説します。

ポイント1.職場環境改善の4つの型|自社に合うものを見極める

実際に職場環境改善を実行する段階では、組織の特徴や抱えている課題に応じて施策の進め方を検討する必要があります。進め方のパターンは、主に下記の4種類です。

  • 経営者主導型:経営判断として職場改善を実施する
  • 管理職主導型:管理職が自職場の改善を実施する
  • 専門職主導型:産業医などの外部の専門職が職場改善を支援する
  • 従業員参加型:従業員が自職場の改善策を立案、実施する
ストレスチェック職場環境改善の4つの型-1
ストレスチェック職場環境改善の4つの型-2

出典:労働安全衛生総合研究事業

ポイント2.ストレスチェック受検率の向上により集団分析の精度を上げる

ストレスチェックの受検率が上がれば、より実態に即した集団分析結果が得られます。

しかし、従業員にとって受検はあくまで任意であり、企業側は強要できません。そのため、受検することで職場の環境改善につながることを丁寧に伝えたり、回答しやすいシステムを導入したりと、受検率向上につながる工夫を積極的に行うことが重要です。

【関連記事】ストレスチェックを拒否させない!今すぐすべき5つの施策

【成功事例】Carelyで健康診断とストレスチェックの実施率100%を達成。健康経営の推進と食を軸に社会貢献を目指す

ポイント3.現場に課題をヒアリングする

集団分析の情報に加えて、管理監督者や現場の従業員などにヒアリングをすることで、より課題の解像度が高まります。

高ストレス者に限定せず全員またはランダムに話を聞くなど、プライバシーに配慮しつつ、ネガティブな要因探しに偏らずに前向きな視点で意見を集めるのがポイントです。

定量的な集団分析結果と、定性的な現場からのヒアリング情報を組み合わせて職場環境改善を効果的に進めていきましょう。

【参考】集団分析の活用事例

集団分析の活用事例として、上司・同僚の支援が低い部署でコミュニケーションを改善し、総合健康リスクが改善したケースをご紹介します。

ストレスチェック集団分析の活用事例

出典:厚生労働省|ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて

上記の例では、集団分析結果から職場の課題を明らかにし、相互支援しやすいチーム作りや業務の多能工化(1つの仕事を複数人で行うようにする)といった改善策を打ち出しました。

厚生労働省では、職場改善のためのヒント集を提供しています。

参考:厚生労働省「こころの耳」

集団分析後を職場環境改善に活かすヒントはこちらの記事でご紹介しているので、あわせてご確認ください。
【関連記事】ストレスチェックは組織集団分析こそが最大のミッション!

【Q&A】人事担当者が知っておきたい集団分析の疑問

最後に、ストレスチェックの集団分析で人事担当者が迷いやすいポイントを解説します。

Q.10名未満の部署でも、集団分析を実施することは可能ですか?

A.実施自体は可能ですが、結果の取り扱いに注意が必要です。

 個人の特定を防ぐため、10人以上のグループ単位での分析が原則です。10名未満の集団分析結果を事業者が確認するには、原則として「対象者全員の同意」が必要となります。

実務上は、10名未満の部署に対して下記のいずれかの対応が一般的です。

  • 近接する他の部署と合算し、10名以上の集団として集計する
  • 過去数年分のデータを合算し、累積で10名以上の母数にする
  • あらかじめ全員から「集団分析結果の開示」に関する同意を得ておく

Q.集団分析結果の開示範囲は?本人の同意なく管理職や経営層に開示してもよいのでしょうか?

A.集団分析結果であれば、職場環境改善を目的とする場合、個人の同意なく開示可能です(ただし10名以上の集団に限る)。 

個人のストレスチェック結果は本人の同意なしに事業者に提供できませんが、集団分析の結果は「個人が特定されない形」であれば、事業者が自由に確認し、活用できます。

開示してよい範囲: 事業主、人事担当者、産業医、該当部署の管理職など

なお、分析結果が管理職の能力評価として活用されることがないよう、あくまで職場環境の改善(一次予防)のための共有であるというスタンスを徹底しましょう。

集団分析結果を活用して、職場環境改善のPDCAを回そう

ストレスチェックの集団分析は、分析結果を職場環境改善に結びつけることが重要です。結果を正しく読み取り、現場と向き合いながら改善を重ねて、働きやすい組織づくりを進めましょう。

「Carely産業医紹介」では、ストレスチェックの実施や集団分析ができる健康管理システムをセットで無料提供しています。
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