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産業医の職場巡視は必須?法的義務・頻度・流れまでわかりやすく解説

産業医の職場巡視は必須?

人事・労務担当者のなかには、産業医の職場巡視について「人事は何を準備すればいい?」「案内するのは作業する場所だけ?」と、戸惑う方も多いのではないでしょうか。特に中小企業では担当者が一人または少人数で兼務していることも多いため、当日に慌てないためには、巡視の目的や流れを事前に理解しておく必要があります。

この記事では、職場巡視の目的・法的義務、実務フローや産業医の選び方まで、初めての担当者でもイメージしやすいようにわかりやすく解説します。

 

もし、「自社に合う産業医をどう探せばいいのかわからない」「そもそもどこで産業医を紹介してもらえばいいのかわからない」とお悩みの場合は、産業医紹介を利用するのも一つの方法です。

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産業医の職場巡視とは?目的や実施頻度など基本を解説

50名以上の労働者がいる事業場では、従業員の健康と安全を守るため、産業医による職場巡視が義務づけられています。(労働安全衛生規則第15条)職場巡視とは、産業医が実際に職場を見回り、作業環境や作業方法、衛生状態が労働者の健康に悪影響を及ぼさないかを確認し、必要な改善を事業者に助言・指導する活動です。

この章では、職場巡視の基本的な内容について解説します。

職場巡視の目的

職場巡視の目的は、作業環境や業務の実態を正しく把握し、安全衛生上の課題を早期に発見・改善することです。職場巡視には、次のような狙いがあります。

◼︎現場の環境や作業手順を確認し、事故や健康リスクにつながる問題を見つけて改善する
◼︎「環境・作業・健康」を切り離さず、総合的に安全衛生対策を検討する
◼︎産業医が従業員の作業内容を把握し、健康状態に合った配置や働き方を判断できるようにする
◼︎管理監督者・産業医・衛生管理者が現場で課題を共有し、連携を深める

出典:職場巡視のポイント|産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究所 非常勤助教 岩崎明夫

職場巡視は、単なるチェック作業ではありません。現場を総合的に観察し、職場の安全性・生産性・働きやすさを高める重要なプロセスです。

巡視の「2ヵ月に1回」実施やオンライン巡視が認められる条件は?

職場巡視は、原則として「毎月1回の実施」が求められています。現場の作業環境や作業の実態を直接確認する必要があることから、オンライン巡視は認められていません。(参考:情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について

一方で近年は、過重労働やメンタルヘルス不調など、職場巡視だけでは把握しにくい健康リスクが増えているという背景があります。そのため、企業が産業医へ必要な情報を毎月確実に提供できている場合に限り、巡視頻度を「2ヵ月に1回」に見直すことが認められています。ただし巡視頻度の変更は、事業者の同意が前提です。(参考:労働安全衛生規則第15条

【巡視頻度の見直しで、産業医への提供が必要な情報】
◼︎衛生管理者が行う「毎週1回」の職場巡視の結果
◼︎安全衛生委員会などで審議し、事業者が産業医に提供すると決めた情報
◼︎月80時間超の残業者に関する情報※1

参考:厚生労働省|産業医制度に係る見直しについて(平成29年)
※1 上記参考資料をもとに、労働安全衛生規則 第15条の2の改正に従い残業者の要件を「月80時間超」に修正

産業医と衛生管理者の巡視の違い

従業員が50人以上いる企業では、安全衛生上の問題を発見し、改善につなげるため、衛生管理者・産業医のどちらも職場巡視を行わなければなりません。

労働安全衛生法では、担当者ごとに巡視頻度が次のように定められています。

◼︎衛生管理者:週1回以上
◼︎産業医:原則は毎月1回以上(条件付きで2ヵ月に1回に見直し可)

衛生管理者と産業医は、事業場の衛生管理を改善するために協力し合う関係にあります。この協力関係を支えているのが、衛生管理者の毎週の巡視情報です。「どの部署で負荷が高いのか」「どのようなリスクが増えているのか」といった、月1回の産業医巡視だけでは気づきにくい現場の変化を、衛生管理者の巡視情報で補っています。

【関連記事】衛生管理者の職場巡視、産業医と違うのか?役割と実施方法を解説します。

産業医巡視の法的義務と罰則

産業医による職場巡視は、労働安全衛生規則第15条で定められた法的義務です。担当者がまず押さえるべきポイントは下記の3つです。

01.職場巡視は毎月1回が原則
02.巡視結果は記録して保存
03.改善が必要な場合は、事業者が対応

巡視結果の保存義務は明示されていませんが、安全衛生委員会議事録の保存期間(3年)に合わせて保管する企業が一般的で、職場巡視を実施している証明としても有効です。

 

産業医が職場巡視を実施していない場合、事業者は「50万円以下の罰金」の対象となるおそれがあります。(参考:労働安全衛生法第120条

労災発生や従業員からの申告があると労働基準監督官の臨検が入ることがあり、そこで職場巡視の未実施が発覚すると、是正指導の対象になることも。臨検はランダムで実施されるため、日頃から備えておくことが大切です。(参考:労働安全衛生法 第97条労働基準法 第101条労働基準法 第104条

こうした万が一の事態に備える観点でも、産業医の巡視や委員会運営の記録を一元管理できるツールは非常に有効です。

Carely産業医紹介」は、データを一元管理できる健康管理クラウドが無料でセットになっているため、忙しい担当者でも、巡視・安全衛生委員会・ストレスチェックまで無理なく一貫して運用できます。

下記の記事では、産業医紹介とセットになっている「健康管理クラウド」を使って労基署に対応できたエピソードを紹介しています。あわせてご覧ください。
【関連記事】従業員の健康管理と法令遵守が徹底できるなら、「コストパフォーマンスが高い」と判断しました。北都システム株式会社

【チェックリスト】 職場巡視で見られるポイント

産業医による職場巡視では、どのようなポイントを確認するのでしょうか。サンプルとして「Carely健康管理クラウド」の職場巡視の記録画面を見てみましょう。

職場巡視記録サンプル-Carely健康管理クラウド

職場巡視でチェックされる基本項目は、下記のとおりです。

01.危険な箇所はないか
◼︎温度・湿度(熱中症リスク)
◼︎換気・空調の状態
◼︎騒音・照度
◼︎通路の確保や転倒の危険

02.作業のやり方・手順に危険がないか
◼︎無理な体勢や腰痛を招く姿勢
◼︎急ぎ作業によるヒヤリ・焦り
◼︎危険作業における手順の乱れ
◼︎防護具(手袋・ゴーグルなど)の使用状況

03.働く人の健康状態はどうか
◼︎疲労の蓄積
◼︎体調不良の兆候
◼︎咳込み・息苦しさ
◼︎職場で気になるメンタル面のサイン

産業医は実際に現場へ足を運び、従業員と直接話すことで、書類だけでは見えない健康リスクや働き方の実態を把握します。

初めてでも迷わない職場巡視の実務フロー

職場巡視は「事前準備→当日実施・振り返り→報告書作成→委員会で共有・改善」の流れで実施します。ここでは、初めての担当者でも迷わず進められるよう、実務フローを下記4つのステップに分けて解説します。

  1. (担当者)巡視の事前準備
  2. (産業医)職場巡視〜巡視後の振り返り
  3. (担当者)巡視報告書の作成と保存
  4. 安全衛生委員会での共有と改善対応

ステップ1.(担当者)巡視の事前準備

巡視当日に慌てないために、担当者は事前準備を実施しましょう。通常業務の妨げにならないよう、巡視時間や順番を決めておくとスムーズに巡視できます。

【事前に決めておくこと】

  • チェックリストで確認ポイントを明確化
  • 巡視計画(巡視順番・重点箇所)を決める
  • 現場情報(工程・有害要因)を把握しておく
  • 巡視ルート(マップ)を用意する
  • 事前に巡視のイメージを具体化しておく
  • 産業医へ必要な事前情報を提供する
【事前にそろえておきたい資料例】
◼︎安全衛生管理規程
◼︎安全衛生管理組織図
◼︎安全衛生委員会議事録
◼︎年間安全衛生管理計画(教育計画など)
◼︎各種安全衛生管理活動の記録
◼︎作業標準書・マニュアル
◼︎定期健康診断個人票

参考:職場巡視に有用な労働衛生管理資料|一般社団法人 島根医師会

ステップ2.(産業医)職場巡視〜巡視後の振り返り

当日は、産業医が作業環境・作業方法・健康状態を実際に確認し、その場で課題を把握して改善の優先順位を検討します。

【産業医による職場巡視のポイント】

  • 災害時も含め、危険が起こり得る場面を想像しながら巡視する
  • 品質・作業性などの間接要因も確認する
  • 汚れや動線から作業の流れを推測する
  • 「なぜ起こるか」の背景まで考える
  • 良い点も必ず拾う
  • 休憩室やトイレなどの生活スペースも確認する
  • 服装・保護具等のルールを守って安全に巡視する

【巡視後(できれば当日中)】

  • 見つけた危険を整理する
  • 「事故の大きさ × 発生の可能性」でリスク評価する
  • 優先度の高いものから改善策を検討する

ステップ3.(担当者)巡視報告書の作成と保存

職場巡視で確認した事項は、報告書として整理します。

【報告書にまとめる内容】

  • 指摘事項・改善提案
  • 良い点
  • 指摘の背景(発生要因など)
  • リスク評価
  • 優先度の高いものから改善方針を検討

巡視記録は法律上の保存義務はありませんが、安全衛生委員会の議事録保存期間(3年)に合わせての保管が推奨されます。

ステップ4.(担当者)安全衛生委員会での共有と改善対応

産業医の巡視結果を安全衛生委員会で共有し、改善策の決定と進捗管理につなげます。

【委員会で行うこと】

  • 指摘事項を共有し、理由・背景をヒアリングする
  • 現場が実践しやすい改善策を検討する
  • 改善の優先順位を決め、フォローアップする

現場の納得感がないと、改善は定着しにくくなります。 そのため、指摘を一方的に伝えるのではなく、「なぜ必要なのか」という理由や背景を丁寧に説明することが大切です。さらに、現場の状況や困りごとに合わせて、複数の改善案を提示することも効果的です。

【FAQ】初めての職場巡視で迷いがちなポイント

初めて巡視を担当すると「誰が同行すべき?」や「在宅勤務の場合は?」など、細かいポイントで戸惑いやすい場面が出てきます。ここでは、担当者が特につまずきやすいポイントをわかりやすく解説します。

Q1.職場巡視は衛生管理者と産業医だけでいいですか?

A.職場巡視には、現場をよく知る人の同行があると巡視の精度が高まります。
現場責任者や管理職など、日常の作業内容や課題を把握している人が加わることで、指摘事項や改善策もより具体的になるので同行してもらうのがおすすめです。

ただし、中小企業では人数が限られるため、その場の状況に合わせて臨機応変・柔軟に動ける体制を整えましょう。

Q2.巡視の場所は作業場だけですか?

A.巡視対象は「作業場だけ」ではありません。
職場巡視では、作業によるリスクと生活環境によるリスクの両方を確認します。従業員が長時間滞在するスペースほど、巡視の重要度は高くなるため、次のような場所もすべて確認対象です。

  • 休憩室
  • 更衣室
  • トイレ
  • 事務所
  • 喫煙室
  • 休養スペース・ロッカー室など

Q3.従業員が在宅勤務の場合はどうする?

A.在宅勤務中でも最低限の作業環境確認が必要です。
在宅勤務でも、働く人の安全を守るという企業の責任(安全配慮義務)は変わりません。とはいえ自宅への立ち入りは現実的ではないため、次のような方法で対応します。

  • 在宅勤務用の自己チェックリストで作業環境を自己点検してもらう
  • 明らかに不適切な場合は、サテライトオフィスやレンタルスペースなど代替手段を検討する

(参考:在宅テレワーク勤務の健康対策と法

職場巡視を価値ある取り組みにする「良い産業医」の条件

産業医による職場巡視は、単に現場を見て終わる業務ではありません。産業医がどれだけ「改善につなげる視点」を持っているかによって、安全衛生の質は大きく変わります。

特に限られたリソースで運用している中小企業では、産業医の質とサポート体制が成果を左右します。

相性の良い産業医を選ぶと、職場巡視は次のような「価値ある取り組み」に変わります。

  • 巡視の精度が上がり、「どこを直すべきか」が明確になる
  • 委員会の議論が深まり、改善が実行しやすくなる
  • ストレスチェック・長時間労働対応にも一貫性が出る
  • 担当者が「管理」ではなく「改善」に時間を使えるようになる
  • 健康経営の土台となる安全衛生体制が整う

つまり限られた人数でもムリなく運用できるかどうかは、「自社と相性の良い産業医と組めているか」で決まります。

「Carely産業医紹介」では貴社の業種・従業員規模・リスク状況に合った産業医をご紹介します。さらに、産業医紹介と健康管理クラウドがセットになっているため、職場巡視・安全衛生委員会・ストレスチェックまで一貫してサポートが可能です。

詳細は、こちらのリンクよりご覧ください。
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もし現在の産業医に「自社に合っていない」「改善につながらない」と感じている場合は、産業医を変更することも可能です。詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
【関連記事】産業医変更はできる?できない?|手続きと円滑に進めるポイントを解説

産業医の力を活かせば、巡視の負担が改善の起点に変わる

職場巡視は単なる法令対応ではなく、現場のリスクを可視化し、安心して働ける環境をつくるための重要なプロセスです。

しかし、多くの企業では担当者の人手がたりず、通常業務と並行しながら巡視・委員会を兼務しているため「どこまでやれば十分なのか」がわからないまま対応してしまいがち。だからこそ、自社の規模・業種・課題に合った「良い産業医」を選べるかが、巡視の成果と担当者の負担を大きく左右するポイントになるのです。

 

「Carely産業医紹介」では、企業の風土や課題に合った産業医をご紹介します。さらに、産業医紹介と健康管理システムが無料でセットになっているため、中小企業でも無理なく法令対応を進めながら、安全衛生を効果的に推進できます。

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