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ストレスチェックの結果の見方・開示範囲・保存義務をわかりやすく解説

ストレスチェック結果の取り扱いには、開示範囲や保存期間、高ストレス者への対応など、法令で細かくルールが定められています。制度が複雑なぶん、正しく理解しないまま運用すると、意図せず法令違反につながるリスクもあるため注意が必要です。

本記事では、ストレスチェックの結果の見方、開示範囲、保存ルール、高ストレス者への対応の流れ、事業者がやるべきことまで、押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

>>ストレスチェックの結果の見方をすぐに知りたい方は、「ストレスチェックの結果の見方と高ストレス者の判定基準」からご覧ください<<

 

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ストレスチェック制度の目的と対象企業

ストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」を目的に、2015年12月にスタートしました。従業員自身がストレスに気づくきっかけをつくり、職場環境の改善につなげることがねらいです。

現時点で実施義務があるのは、常時50人以上の労働者を使用する事業場で、年1回以上行う必要があります(労働安全衛生法第66条の10)。契約期間や労働時間の条件を満たせば、パート・アルバイトも対象です。

なお、2025年5月に改正労働安全衛生法が成立・公布され、50人未満の企業にもストレスチェックの実施が義務化されることが決まりました。施行は公布後3年以内(最長で2028年5月まで)とされていますが、未確定のため早めの準備が重要です。

▼対応のポイントや確認しておくべきマニュアルは、こちらの記事で解説しています。
【関連記事】ストレスチェック義務化が50人未満も対象に?つまずきやすいポイントをパターン別に解説!
▼ストレスチェック制度の義務や費用、実施の流れなど全体像を詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】ストレスチェックとは?義務や費用、実施の流れなど実務を徹底解説

 

参考:厚生労働省|労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要

ストレスチェックの結果の見方と高ストレス者の判定基準

ストレスチェックの結果は、3つの領域で構成されており、個人結果はスコアやレーダーチャートで表示されます。ここでは、結果の構成要素と個人結果の読み取り方、そして高ストレス者がどのように判定されるかを解説します。

ストレスチェックの結果を構成する3つの領域

ストレスチェックの結果は、次の3つの領域で構成されています。

領域内容具体的な項目例
1.ストレス要因ストレスの原因を測定する仕事の量的・質的負担、対人関係、職場環境への不満など
2.心身のストレス反応ストレスが心身にどう表れているかを把握する活気の低下、イライラ感、疲労感、不安、抑うつ感、身体の不調など
3.周囲のサポートストレスを和らげる支援があるかを評価する上司からの支援、同僚からの支援、家族・友人からの支援など

この3領域を総合的に見ることで、従業員一人ひとりのストレス状態を多角的に評価できます

厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」は57項目版が標準です。調査票を見ると、3つの領域を意識した設問になっていることがわかります。

出典:厚生労働省|ストレスチェック制度導入ガイド

ストレスチェックの個人結果の見方

個人結果は、下記のように、3領域ごとのスコアやレーダーチャートで表示されます。

出典:厚生労働省|ストレスチェック制度導入ガイド

例えば「心身のストレス反応」の数値が高い場合、すでにストレスが心身に影響を及ぼしている可能性があります。また、「ストレス要因」が高いのに「周囲のサポート」が低い状態は、必要な支援が届いていないことを意味します。

前年の結果と比較するとストレス状態の変化の傾向もつかみやすくなるため、経年での確認もあわせて行いましょう。

高ストレス者の判定方法は2種類

高ストレス者の判定は「合計点数方式」と「素点換算」の2つがあり、ストレスチェックベンダーごとに異なります。それぞれの算出方式の特性を鑑みて、結果を確認しましょう。

合計点数方式素点換算
判定方法設問の点数を合計して基準点と比較算出した評価点を領域(A・B・C)ごとに合計し、基準点と比較
メリット計算がシンプルでわかりやすい質問の数の影響を排除でき、尺度ごとのストレス状況を正確に把握しやすい
デメリット領域ごとの偏りが見えにくい計算方法が複雑で使いにくい

ストレスチェックの結果の閲覧範囲のルール

ストレスチェックの結果は、従業員の心理状態に関わるセンシティブな個人情報です。従業員が安心して受検できるよう、結果を誰が閲覧できるか、どのように共有できるかについて、法令で厳格なルールが設けられています。詳しく見ていきましょう。

個人結果の閲覧が認められるのは「実施者」と「実施事務従事者」のみ

ストレスチェックの個人結果を取り扱えるのは「実施者」と「実施事務従事者」に限られています

「実施者」とは、ストレスチェックの実施を担う専門職です。多くの企業では産業医が務めますが、保健師や所定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士・公認心理師も該当します。「実施事務従事者」は、実施者の指示のもとでデータ入力や結果送付などの事務を担当する者です。

なお、ストレスチェックの結果が人事評価に影響することを防ぐため、人事部長や採用・解雇の権限がある管理職など人事権を持つ者は「実施者」「実施事務従事者」になれません。


結果の通知も、実施者または実施事務従事者から受検者本人に直接行われます。実務上は、紙の場合おおむね受検後1ヵ月以内、専用システムの場合は即時届くのが一般的で、封書や専用システム上のデータ配信など他の従業員に内容が漏れない方法で届けられます。

実施者と実施事務従事者はいずれにも法律上の守秘義務が課されており、違反した場合、罰則の対象です(労働安全衛生法第104条)。外部機関への委託時も、委託先の担当者に同様の守秘義務が適用されます。

本人の同意がなければ上司・事業者への共有はNG

ストレスチェックの結果は、本人が同意しない限り上司や事業者に共有できません労働安全衛生法第66条の10)。同意を取得するタイミングについても受検前や受検時にまとめて同意を取ることは不適切とされており、必ず結果通知後に行う必要があります。

取得方法としては、面接指導の申し出をもって同意とみなす方法や、書面・メールで個別に確認する方法が認められています。

参考:厚生労働省|労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル

ストレスチェックの結果は5年間の保存が義務

ストレスチェックの結果データは、5年間の保存が義務づけられています(労働安全衛生規則第52条の13)。対象となるのは「個人のストレスチェック結果」「ストレスの程度の判定結果」「面接指導対象かどうかの判定結果」の3点で、調査票の原本やコピーの保存は必要ありません。

保管場所は事業者が指定します。鍵付きキャビネットやパスワード管理されたサーバーが一般的で、実施者または実施事務従事者のみがアクセスできる体制が必要です。保存期間・保管場所・アクセス権限などは、衛生委員会で審議のうえ社内規定に明記し、従業員に周知しておきましょう。

▼結果データの保管ルールを社内規定として整備する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】ストレスチェックの実施に関する社内規定は必要?作成のポイントなどを紹介

高ストレス者が判明したあとの対応の流れ

ストレスチェックを実施した結果、高ストレス者が判明した場合は、法令に基づいた対応が必要です(労働安全衛生法第66条の10)。

ステップ対応内容
1.結果通知実施者または実施事務従事者が本人に直接通知し、面接指導を受けられる旨を案内する
2.面接指導の実施本人から申し出があった場合、おおむね1ヵ月以内に産業医による面接指導を行う
3.報告書の作成・保管産業医が報告書を作成し、就業上の措置に関する意見を事業者に提出する(5年間保存)
4.就業上の措置産業医の意見を踏まえ、必要に応じて勤務時間の短縮や配置転換などを実施する

面接指導の申し出は労働者の任意ですが、申し出がない高ストレス者にも実施事務従事者を通じた勧奨など、可能な範囲でフォローすることが望ましいとされています。

▼産業医面談の進め方や高ストレス者への具体的な対応について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【関連記事】ストレスチェック後の産業医面談とは?高ストレス者の対応や流れを解説

ストレスチェック結果について企業に求められる4つの対応

ストレスチェックは実施して終わりではありません。結果を踏まえて、企業として4つの対応が求められます。それぞれ確認していきましょう。

対応1.結果を理由にした不利益な取り扱いをしない

ストレスチェックの結果や面接指導の申し出を理由に、従業員へ不利益な取り扱いをすることは法令で禁止されています(労働安全衛生法第66条の10)。解雇、雇い止め、退職の強要、不当な配置転換、人事評価での不利な扱いなどが該当します。受検しなかった従業員への不利益な扱いも同様です。

一方、勤務制限や配置転換など産業医の意見に基づく「就業上の措置」は不利益な取り扱いには該当しません。結果そのものや申し出を理由にした不当な扱いとの区別を正しく理解しておきましょう。

従業員が安心して受検・申し出ができるよう、この方針を社内で明確に周知しておくことが大切です。

対応2.実施状況は労働基準監督署へ報告する

ストレスチェックを実施した労働者50人以上の事業場は、所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」に、実施時期・受検者数・面接指導を受けた人数などを記載して電子申請(e-Gov)しましょう。

報告は事業場ごとに必要なため、複数の事業場がある企業はそれぞれで対応が求められます。怠った場合は50万円以下の罰金が科されるおそれがあるため、漏れのないようにしましょう(労働安全衛生法第120条第5号)。

対応3.社外の相談窓口を設けて従業員が相談しやすい環境をつくる

「高ストレス者のなかで産業医面談を自ら申し出る人の割合は5%未満」という事業場が76.8%を占めているという結果が出ています。

出典:厚生労働省|ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて

医師による面接指導を受けると、事業者に自らが高ストレス者であることを明らかにすることになるため、面接指導を望まない労働者も多いと考えられています。こうした状況に対応するには、社外に次のような相談窓口を設けることが有効です。

【相談窓口の例】
◼︎外部EAP(従業員支援プログラム)
◼︎カウンセリングサービス
◼︎働く人の「こころの耳電話相談」

窓口は設けるだけでなく、従業員への周知が欠かせません。結果通知と同時に案内し、相談内容が本人の同意なく事業者に伝わることはない旨もあわせて伝えると、利用のハードルを下げられます。

対応4.集団分析に取り組んで結果を職場改善に活かす

集団分析とは、個人の結果を部署・職種・年代などの単位で集計し、組織全体のストレス傾向を把握する手法です。現行法では努力義務ですが、令和6年の労働安全衛生調査(実態調査)によると、ストレスチェックを実施した事業所のうち75.4%が集団分析を実施しています。※1

個人結果は実施者・実施事務従事者のみしか閲覧できませんが、集団分析結果は衛生委員会で定めておいた範囲で閲覧・活用が可能です。「特定の部署にストレスが集中している」「組織的な課題が放置されている」といった構造的な問題を可視化できる点が大きなメリットといえます。結果をもとに衛生委員会で改善施策を議論し、次回のストレスチェック結果と比較してPDCAを回すことで、職場環境は着実に改善していきます。

▼集団分析の具体的な評価方法や手順、活用事例はこちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】ストレスチェックの集団分析とは?評価方法や手順、結果の活用方法まで徹底解説

※1参考:厚生労働省|令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

ストレスチェックの結果は適切に保存して職場改善に活かそう

ストレスチェックの結果は、ストレス要因・心身のストレス反応・周囲のサポートの3つの領域で構成されており、個人結果の閲覧は実施者と実施事務従事者に限られています。本人の同意なく上司や事業者に共有することはできず、結果データは5年間の保存が義務です。

高ストレス者が判明した場合は、結果通知から面接指導、就業上の措置まで、法令に沿った対応が求められます。あわせて、結果を理由にした不利益な取り扱いの禁止や労基署への報告、社外相談窓口の整備など、企業として果たすべき対応も押さえておきましょう。

そして、ストレスチェックの結果を最大限に活かすには、集団分析への取り組みが欠かせません。実施して終わりにせず、職場環境の改善に活かしていくことが、従業員が安心して働ける職場づくりにつながります。


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