健康管理
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ストレスチェックの高ストレス者とは?判定基準や企業の対応フロー、放置リスクまで解説

ストレスチェックの高ストレス者とは?

ストレスチェックで高ストレス者と判定された従業員への対応は、メンタルヘルス不調を防ぐだけでなく、企業の安全配慮義務を果たすうえでも重要です。本記事では、高ストレス者の判定基準から具体的な対応フロー、放置した場合のリスクを解説します。

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ストレスチェックにおける「高ストレス者」の定義と判定基準

ストレスチェックとは、質問票に回答してもらい、従業員の心理的負担の程度や要因を定期的に把握する検査制度です。

2026年7月現在、ストレスチェックは労働者数が50人以上の事業場で年に1回以上の実施が義務づけられています。ただし労働安全衛生法の改正により、2028年4月1日からすべての企業が対象となります。ここではストレスチェックにおける高ストレス者について詳しく解説します。

【関連記事】ストレスチェックとは?義務や費用、実施の流れなど実務を徹底解説

高ストレス者の定義

高ストレス者とは、ストレスチェックによって強いストレスを抱えていると判定された従業員のことです。この状態を放置すると、うつ病などのメンタルヘルス不調を引き起こすリスクが高まります。

厚生労働省の指針では、下記の2つの基準のいずれかを満たす人を「高ストレス者」として選定しています。

01.「心身のストレス反応(自覚症状)」の評価点数の合計が高い者
02.「心身のストレス反応」の評価合計が一定以上あり、かつ「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い者

本制度の目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止です。本人によるストレスへの気付きの促進と職場環境の改善に加え、高ストレス者の早期発見・早期対応の役割も担っています。

参考:厚生労働省|改正労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度について

高ストレス者の判定基準となる3つの評価項目

厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」では、下記の3領域を総合的に評価して高ストレス者を判定します。

01.仕事のストレス要因:仕事の量や質、裁量の程度など
02.心身のストレス反応:疲労感、イライラ、不安、抑うつ、身体の不調など
03.周囲のサポート:上司、同僚、家族からの支援状況など

参考:厚生労働省|厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム

高ストレス者の判定方法

高ストレス者の判定方法には、「合計点数方式」と「素点換算表方式」の2種類があり、ストレスチェックベンダーごとに異なります。

合計点数方式素点換算表方式
判定方法各設問の点数をそのまま合計して判定回答点数を換算表で変換してから判定
メリット計算がシンプルで、運用負担が少ない各項目の影響度を考慮した詳細な評価ができる
デメリットストレス要因の違いを細かく反映しにくい計算や運用が複雑になる

最終的な高ストレス者の判定は、事業者が衛生委員会で審議した基準に基づき、産業医などの実施者が行います。

なお、高ストレス者の割合は、おおむね受検者の10%程度が該当するよう設計されています。自社の高ストレス者割合が多いか少ないかを判断する参考指標として活用するとよいでしょう。

参考:厚生労働省|数値基準にもとづいて「高ストレス者」を選定する方法

企業が高ストレス者を放置することで生じる2つのリスク

高ストレス者を放置することで発生するリスクは主に2つあります。

リスク1.生産性の低下や休職・離職につながる

ストレスを抱えた従業員は、集中力や判断力が低下し、ミスが増えて業務の効率も落ちていきます。

適切な対応を行わずにストレス状態が続くと、メンタルヘルス不調が悪化し、休職や退職に至ることもあります。1人が抜ければ、残された従業員の負担は増すばかりです。そこからさらなる不調や離職が生まれ、組織全体の生産性低下を招くおそれがあります。

リスク2.安全配慮義務違反につながる

企業には、従業員の健康と安全に配慮する「安全配慮義務」があり(労働契約法第5条)、本人からの申し出がないことを理由に責任を免れることはできません。

高ストレスの状態を把握しながら必要な対応を怠ると、「不調を予測できたか(予見可能性)」「悪化を防ぐ措置を講じられたか(結果回避可能性)」が問われ、安全配慮義務違反と判断されるおそれがあります。

違反自体に罰則はありませんが、従業員やその家族から損害賠償を請求される場合もあり、本人からの申し出を待つだけという受け身の対応は、企業にとってリスクです。

労務リスクに注意したい高ストレス者対応の3ケース

高ストレス者への対応方法を誤り、本人に不利益な取扱いをしてしまうことも労務リスクです。高ストレス者が面接指導を申し出た場合、その申し出を理由に不利益な人事評価(解雇・退職勧奨・配置転換など)を行うことは法律で禁止されています(労働安全衛生法第66条の10第3項)。

厚生労働省のストレスチェック指針では、下記のようなケースも不利益な取扱いとして防止しています。

01.受検を義務付けたうえで、未受検を理由に懲戒処分を行う
02.結果の開示や面談を希望しないことを理由に配置転換を命じる
03.面談で休職が必要と判断されたことを理由に、有期雇用契約を更新しない

ストレスチェックを人事施策として活用しようとする過程で、こうした不利益な取扱いは生まれやすくなります。高ストレス者の放置も行き過ぎた対応も、いずれもリスクになる点に注意しましょう。

【5ステップ】高ストレス者への対応フローとトラブル対策

高ストレス者への面接指導は本人の申し出が前提となるため、支援が必要な従業員にアプローチしにくいという課題があります。

ここでは、各対応フローにともない、高ストレス者への対応で起こりやすいトラブルやその対策を解説します。

ステップ1.ストレスチェック結果の本人への通知

事業者が本人の同意なく結果を見ることは禁止されているため、個別結果は産業医(実施者)または実施事務従事者が本人に直接通知します。その際、高ストレス者には面接指導の必要性を伝え、申し出を促します(労働安全衛生法第66条の10)。

ストレスチェック担当者・実施者・実施事務従事者の役割や人事権、資格要件、守秘義務についてまとめた表を示す画像
よくあるトラブル勤怠が不安定な社員や新入社員を心配した上司が、本人の同意なくストレスチェックの結果を閲覧したり提出を要求したりする
対策・社内規定で結果の閲覧範囲を定め、本人の同意の有無に応じて閲覧権限を設定できるシステムを整備する

・ストレスチェックの結果を紙で管理している場合、書類の保管場所や施錠についてルールを徹底する


ストレスチェックの結果を上司や部門長へ共有することはできません。しかし、上司が部下の異変に気付いた際は、「様子がいつもと違う」「勤怠が乱れている」といった情報を人事担当者や産業医へ共有し、適切な対応につなげることが重要です。

【関連記事】ストレスチェックの結果の見方・開示範囲・保存義務をわかりやすく解説

参考:厚生労働省|労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル

ステップ2.産業医による面接指導の勧奨

高ストレス者と判定された従業員には、医師による面接指導を受けるよう勧奨します。ストレスチェックの結果は要配慮個人情報にあたるため、勧奨の仕方には配慮が必要です。

高ストレス者を把握できるのは、実施マニュアルにあるとおり実施者・実施事務従事者に限られます。ただ、実施者である産業医などは稼働が限られており、勧奨を行うのは現実的ではありません。そのため、実務上は実施事務従事者から直接勧奨するのが一般的です。

また、結果通知のタイミングで面談の申し出先を全体に周知しておきましょう。

よくあるトラブル高ストレス者に該当した従業員が、不安や抵抗感から面接指導の申し出をためらう
(例:「高ストレスと知られると評価に響くのではないか」「面談を周囲に知られたくない」)
対策不利益な取り扱いは、法律で禁じられていることを繰り返し周知し、安心して申し出られる状態をつくる

【関連記事】ストレスチェックの実施者とは?実施事務従事者との違いや役割・要件まで徹底解説

ステップ3.面接指導のスケジュール調整と実施

高ストレス者から申し出があった場合、事業者は遅滞なく(おおよそ1ヵ月以内に)医師による面接指導を実施する義務があります。

よくあるトラブル1ヵ月以内の面接指導の実施を焦るあまり、無理な日程を設定する
対策・業務の忙しさなどを考慮して、曜日や時間帯を設定する(例:休憩時間中や終業後、外出が不自然ではない業務の場合は社外で実施など)

・オンライン面接を導入する

本人が落ち着いて相談できる状況を用意することが、面接指導を有意義なものにします。

ステップ4.産業医の意見聴取と就業環境の調整

面接指導後、企業は医師から就業上の措置に関する意見を聴取します。その意見を踏まえ、必要に応じて下記のような就業上の措置を講じる義務があります。

【措置の例】

▪️労働時間の短縮(残業の制限)
▪️業務内容の変更
▪️配置転換
▪️休職による療養

面接指導の勧奨経緯や、業務との関連性を確認した内容は記録に残しましょう。「不調を予測し、悪化を防ぐ手を打った」という証拠となり、万が一の際に会社を守ることにつながります。

ステップ5.集団分析を活用した職場環境の改善

集団分析とは、個人の結果を部署・職種・年代などの単位で集計し、組織全体のストレス傾向を把握する手法です。

集団分析結果は衛生委員会で定めておいた範囲で閲覧・活用ができます。「特定の部署にストレス原因(仕事が多すぎる、人間関係が悪いなど)が集中している」といった問題を可視化できる点がメリットです。

分析で見えた課題に応じて、休憩スペースの整備や業務量の調整といった改善策を講じます。一人ひとりへの対応だけでなく、ストレスの原因そのものを減らす取り組みが、高ストレス者を生まない職場につながります。

よくあるトラブル全国平均と比較するが、業界や企業規模などが異なっており実態を把握しにくい
対策・客観的に捉えたい場合は、自身の事業場の経年変化を比較する

・全国平均ではなく、業界別平均の基準値を算出しているストレスチェックシステムを使用する

【関連記事】ストレスチェックの集団分析とは?評価方法や手順、結果の活用方法まで徹底解説

担当者が押さえておきたい高ストレス者の面接指導のポイント

面接指導に関して、人事・労務担当者が押さえておきたい実務のポイントを解説します。

面接指導の目的と内容

面接指導と聞くと「受けることで何かデメリットがあるのでは」と身構えてしまう従業員もいますが、面接指導を受けること自体に不利益はありません。

面接指導は人事評価や査定のためではなく、従業員の健康を守るための相談の場です。まず、担当者がその目的を理解しておくことで、従業員にも安心して受けてもらうための説明ができます。

面談では、産業医が下記のような点を確認します。

▪️労働時間、業務内容
▪️作業負荷の状況
▪️心身の状況(疲労感、不安感、イライラなど)
▪️過去に受けたストレスチェックや健康診断の結果

こうした情報をもとに、産業医はストレスとの向き合い方(セルフケア)について助言したり、必要に応じて専門の医療機関への受診を勧めたりします。

なお、面談で把握した内容が会社へ共有されるのは就業上の配慮に必要な範囲に限られるため、安心して相談できることを従業員へ伝えましょう。

面接指導を「希望しない高ストレス者」への対処法

厚生労働省の調査では、「高ストレス者で産業医面談を自ら申し出る人の割合は5%未満」という事業場が76.8%を占めています。本人の申し出を待つだけでは、フォローが届きにくいのが現状です(参考:厚生労働省|ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて)。

隠れ高ストレス者へのフォローに関する図解

そこで、例えば下記のような対策が考えられます。

▪️定期的(2週間に1度)に面談勧奨を行う

▪️健康診断の事後措置や長時間労働者への面談を活用する
ストレスチェックの結果だけで面接指導を勧めようとせず、定期健康診断での再検査結果や、長時間労働といった別のきっかけを理由にして、産業医との健康面談を促す

▪️社外に相談窓口を設ける
相談窓口の例:外部EAP(従業員支援プログラム)、カウンセリングサービス、働く人の「こころの耳電話相談」

このように、従業員の「高ストレス者だとバレるのが嫌だ」という気持ちに寄り添いながら、支援につなげる工夫が重要です。

【高ストレス者と判定された方向け】面談を受けるメリットとストレスへの対処法

高ストレスと判定されると不安に感じるかもしれませんが適切に対応すれば、ストレスと上手に付き合いながら健康的に働き続けることができます。

面接指導を受けるメリット

面接指導では、産業医との対話を通じて心身の状態やストレスの要因を整理し、業務の負担軽減やセルフケアについて専門的なアドバイスを受けられます。

希望する場合は、結果通知後おおむね1ヵ月以内に社内窓口へ申し出ましょう。申し出を理由とした不利益な取扱いは法律で禁止されているので、ためらわずに利用してみてください。

ストレスへの対処法

面接指導とあわせて、自分でできる対処法も知っておくと安心です。会社に知られたくない場合は、社外のカウンセリングや厚生労働省「こころの耳」などの外部窓口を活用できます。

また、睡眠・食事・運動などの生活習慣を整えたり、信頼できる人への相談を取り入れたりすることも、ストレスの緩和に役立ちます。

ストレスチェックの高ストレス者への迅速な対応で、安心して働ける職場をつくろう

高ストレス者への対応は、従業員の健康を守るだけでなく、休職・離職や労務リスクの防止にもつながります。ただし、面接指導は本人の申し出が前提となるため、待っているだけでは支援が届きません。日頃から産業医と連携し、勧奨や記録を続けられる体制を整えておくことが重要です。

「Carely産業医紹介」では、貴社の課題に合わせて、メンタルヘルス支援の経験が豊富な産業医をご紹介します。契約の範囲内で産業医が実施者を務めることもできるため、結果の通知から面接指導までを一貫して任せられます。
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執筆・監修
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この記事を書いた人
Carely編集部

「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

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